汗の臭いについて
最初の汗は無臭
汗は「汗腺」と呼ばれる皮膚にある穴から分泌されますが、汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。それぞれ位置や数、分泌する汗の特徴に違いがありますが、分泌された直後の汗には臭いがありません。
最初は臭いのない汗が悪臭を放つようになるのは主に細菌の影響です。エクリン腺から分泌される汗に含まれている成分や、アポクリン腺から分泌される汗に含まれている成分を皮膚表面に存在する細菌が分解する際に発生する成分が、汗独特の嫌な臭いを生み出しています。
汗の臭いの種類
エクリン腺
汗腺の大半を占めているのがエクリン腺であり、1平方センチメートルの皮膚に100個以上も存在しています。エクリン腺から分泌される汗の特徴はサラサラで蒸発しやすいなことで、汗の中にはアンモニアや尿素、塩分などの成分が含まれています。
基本的に臭いはありませんが、強いストレスを感じると汗に含まれるアンモニアの濃度が増加するので臭いが発生します。また、汗が分泌された皮膚だけに限らず、汗で濡れた衣服からも臭いが発生します。
アポクリン腺
アポクリン腺は耳の中や脇の下、性器の周辺などの限られた場所に存在する汗腺であり、アポクリン腺から分泌される汗にはタンパク質や脂質、鉄分などの成分が含まれています。また、アポクリン腺から分泌される汗は臭いが強い上に粘度が高いという特徴を持ちます。
そして多くの人々を悩ませる脇汗の臭いは、このアポクリン腺から分泌される汗が原因で発生しています。そもそもアポクリン腺の役割は臭いの分泌であり、人間が現在よりも動物的な存在であり体臭が様々な役割を担っていた時代の名残で存在しています。
臭い汗対策におすすめの方法
日常的に汗をかく
普段あまり汗をかかない人の場合、たまに汗をかくと濃縮された成分が分泌されるので強い臭いが発生する可能性が高くなります。そしてドロドロに濃縮された汗が汗腺を塞ぐ影響で汗が流れにくくなり、余計に汗の成分が濃縮されるという負のスパイラルに陥ります。そのため悪臭を放つ汗対策には、習慣的に適度な運動を行うなど日常的に汗をかくことが効果的です。
皮膚を消毒しすぎない
悪臭を生み出すのが皮膚にいる細菌だからといって、むやみに皮膚を殺菌するとそれまで皮膚に生息していた常在菌よりも更に強力な細菌が皮膚に住みはじめて、逆に汗をかいた際の体臭が強くなります。
ストレスを解消する
強いストレスを感じると、エクリン腺から分泌される汗に含まれているアンモニアや乳酸の濃度が上昇して悪臭を放ちます。そのため没頭できる楽しい趣味を持つなど、臭い汗対策にはストレス解消が効果的です。
吸水性と速乾性が良い衣服
綿素材の衣服は吸水性が高いものの速乾性がなく、ポリエステル素材の衣服は吸水性が低いので汗が溜まりやすいという問題があります。そのため身体がずっと汗で濡れた状態におかれるので、皮膚表面で増殖する細菌の働きで悪臭が発生します。したがって体臭防止の汗対策には、吸水性と速乾性が良い衣服を着用することがおすすめです。
すぐ汗を拭く
長時間に渡って身体が汗で濡れると、皮膚表面で繁殖する雑菌の働きで汗が発生します。そのため運動後や入浴後に汗が流れたらすぐに拭き取る必要があります。ただし完全に拭き取ると新しい汗が噴き出すので、濡れタオルを使って汗を拭き取るなどの方法で肌に適度な水分を残しておくことがおすすめです。
冷房にあたりすぎない
身体が冷えると汗の分泌を司る脳のセンサーが働かずに汗腺が停止状態になります。そのため本来は汗に混じって分泌される老廃物が身体に溜まって体内を循環します。したがって、次に汗をかいたときに溜まっていた老廃物が大量に排出されます。そのため老廃物をエサに雑菌が大量繁殖して身体が悪臭が発つので冷房にあたりすぎないことが大切です。
ヘルシーな食事
悪臭を生み出す原因である皮膚の常在菌は、タンパク質や皮脂などをエサに増殖しますが、揚げ物などの高脂肪食品を頻繁に摂取すると身体が余分な脂質を体外に排出します。そのため皮膚の常在菌が増加して、身体が悪臭を放ちます。したがって体臭防止の汗対策には、脂肪分の少ないヘルシーな食事を摂ることが効果的です。