汗とは
汗の正体
汗は、かく量に個人差はありますが、どんな人でもかくものです。かいてしまうと衣類が汚れたり、べたついたりすることで不快に感じることも多く、あまり気持ちがいいものとはいえません。普段何気なくかいている汗ですが、その正体を知らないままの人も、きっと多いことでしょう。
汗は汗腺から分泌されるものですが、汗腺の中でもエクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌されます。分泌されてすぐの汗そのものは無臭で、臭いを発することはなく、成分はそのほとんどが水分です。日ごろ何気なくかいたり、ぬぐったりしている汗ですが、その正体や機能には大きな意味があります。
汗の機能と種類
汗をかくと不快に思うことが多いため、できることならかきたくないと思ってしまいますが、汗には、命を守るためのとても大事な機能があります。また、汗をかくタイミングによってもいくつかの種類があります。
温熱性発汗
汗が持つ主な機能は、体温調節です。体内の細胞や、内臓、器官を正常に機能させるための適度な体温は、36度前後と言われ、この体温を維持するために、運動や暑さで体内にこもってしまった熱を発散させるべく汗をかき、体温調節をします。汗が体の外へ出ていくことで、体内の熱を外に逃がし、体温の上昇を防ぐという重要な機能を持っているのです。このような汗を「温熱性発汗」と呼びます。
精神性発汗
精神性発汗とは、誰でも1度は経験したことのある汗です。温熱性発汗に対し、極度の緊張や興奮状態によってかく汗を「精神性発汗」といいます。全身にわたってかくというより、手のひらや足の裏など、一部の部位にかくことが多い汗です。
味覚性発汗
辛い物やすっぱいものを食べた時にでる汗で「味覚性発汗」と呼ばれます。味覚の辛みを感じる部分に、強い刺激を感じて発汗する汗です。特におでこや鼻にかくことが多い汗でもあります。
女性と汗の臭い
女性が気にするワキ汗
男性も加齢臭などの体臭を気にするものですが、女性も同じく、自分から発せられる臭いにはとても敏感です。特に多くの女性が気にしているのが、ワキ汗と呼ばれるワキから発汗される汗の臭いです。ほとんどの女性が、自分の体臭の中で一番気になると答えるほど、女性にとってワキから出る汗はある意味とても脅威でもあるのです。
ワキに汗をかいてしまえば、衣類も汚れることとなり、恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。かいたワキ汗を拭き取っても、衣類に染み込んでしまえば臭いの原因となるため、女性はワキの汗が衣類につかないような配慮もしています。
ワキ汗は同じ汗の中でも特に、人目に付きやすい汗であるため、女性はひと際気にしてしまいます。また、ワキ汗対策としてデオドラント商品をいつも持ち歩き、臭い対策に気を遣っている人もたくさんいます。女性にとって汗対策は、日常的な身だしなみの1つでもあるのです。
女性ホルモンと汗
女性ホルモンには、発汗を抑制する働きもあるため、女性ホルモンが乱れることで汗の量が増えることもあります。汗の量が増加してしまえば、それだけ臭いを発生させてしまうリスクも高くなるため、注意が必要となってきます。
また、閉経によって女性ホルモンの分泌が大幅に減少すると、発汗を抑制する機能にも影響を与えるため、突然大量の汗をかくなど、更年期障害と呼ばれる症状を発生させてしまいます。女性ホルモンの影響を受けやすい状況下にあるときは特に汗をかきやすくなる傾向にあることがわかります。
汗の臭い対策グッズ
汗の臭いは、女性だけでなく男性も気にするものです。そのような需要に応えるように、汗の臭い対策として、様々なグッズが市場に出回っています。そんな中でも多くの人から利用されているものには、下記のようなものがあります。
制汗剤
制汗剤には、汗を吸収する「吸収剤」と汗を抑制する「収れん剤」が配合されており、汗を抑制させる働きがあります。皮膚に直接塗布すると、毛細血管の先端を収縮させ、汗腺に働きかけることで発汗を抑制してくれます。
デオドラント商品
発汗された汗は、放置され皮膚上の皮脂や雑菌と混ざり合い、分解されるときに臭いを発するものです。デオドラント商品は、分解される際に臭いを作り出す元となる細菌の繁殖や、増殖を抑制する働きがあります。デオドラント商品には、スプレータイプのものや、ロールオンタイプなど、様々なタイプの商品がたくさん開発販売されています。
ドラッグストアやスーパーなどで簡単に入手することができるのも、多くの人から利用されている理由の1つです。ですが、これらのデオドラント商品は、肌に直接塗布することが多いため、肌に合わない成分が配合されていたりすれば、肌トラブルを起こしてしまう原因にもなります。
特に乾燥肌や敏感肌の人は、使用する前に配合されている成分をしっかり確認し、事前にパッチテストなどを行うことが大事です。使用頻度を誤っても、肌には大きな負担となり、これも肌トラブルの原因となってしまいます。適度な使用頻度と、正しい使用方法を把握しながら使用することが大事です。
ミョウバン水
市販されているデオドラント商品とは少し違いますが、ミョウバンには体臭を抑制する働きがあります。ミョウバンを皮膚に塗布すると肌の表面が酸性になるため、菌の繁殖や増殖を抑える効果を発揮します。
また、酸性となったミョウバン水は、アンモニア臭を中和する働きもあります。消臭だけでなく、抗菌や殺菌、そして汗を抑制する効果もあるミョウバンは、とても万能な消臭グッズなのです。ミョウバンに水を混ぜるだけで自宅にいながら手軽に作成できるため、人気が高くなっています。
理想の汗とは
サラサラの汗
汗をかくと不快に感じることが多いため、できるだけかきたくないと思ってしまいますが、汗をかかないことは反対に、たまにかいた汗が臭ってしまう原因となります。臭ってしまう汗ほど、べたつきが強く、ドロドロで成分が濃いものです。
サラサラの汗ほど不純物が少なく、臭いも発しないため、どうせかいてしまう汗ならば、できるだけサラサラの汗をかくようにする努力が必要です。サラサラの汗をかくには、食生活や生活習慣を見直し、ドロドロ汗になっている原因を取り除かなくてはいけません。肉類や揚げ物類ばかりの栄養が偏った食事や、便秘を改善することでドロドロ汗も改善することができます。
野菜中心の、規則正しい食生活を心がけることが大事です。喫煙や飲酒といった習慣や、睡眠不足やストレスなども汗に影響を与えてしまいます。臭いのある汗をかいてしまう原因にもなるため、これらの生活習慣を見直すことも、汗の臭い対策の1つです。
汗腺を鍛える
汗腺とは、汗が分泌されるための穴ですが、そんな汗腺を鍛えると言われても、どういうことなのかピンと来ないかもしれません。冷房設備が整った現代社会に生きている現代人は、汗をかく機会も減少してしまい、上手に汗をかくことができなくなってしまいました。汗をかくという人間本来の機能も、日ごろから正しく作用しなければ、衰えてしまう一方です。
汗腺を鍛えるとは即ち、日ごろから汗をかく習慣をしっかり身につけるということなのです。汗腺を日常的に、なおかつ正常に機能させることこそ、臭わない汗をかく秘訣ともいえるのです。鍛えられた汗腺から分泌される汗は、ドロドロ汗ではなく、理想のサラサラ汗になっています。